2014年2月8日土曜日

接続要素を制する者はMEPを制す(3)

制気口のファミリを作ってみよう

制気口のファミリを作成しながら、接続要素の設定方法について説明します。ファミリの新規作成で適切なファミリテンプレートを選択して始めましょう。

ファミリテンプレートの選び方

制気口の配置方法を考えて、以下のファミリテンプレートの中から選びます。

一般モデル(メートル単位).rft

このテンプレートで作成した制気口は、配置時に一旦FLに配置し、その後高さ情報(たとえば天井高など)を与えることで配置します。

一般モデル(メートル単位)、天井基準面.rft

このテンプレートで作成した制気口は、配置時に天井面に吸い付きます。理にかなっており便利ですが、「リンクモデルの天井は認識しない」「天井がない直天などの場所には配置できない」などの欠点があります。

一般モデル(メートル単位)、面付き.rft

このテンプレートで作成した制気口は、配置時にいろいろな面に吸い付きます。これはリンクモデルの面も認識するので便利です。ただし空中に吊るようなは配置できません。

カテゴリを変更する

一般モデル(メートル単位).rtfを選択したとします。制気口のカテゴリは「エアターミナル」ですので、カテゴリを変更します。
ファミリカテゴリとパラメーター
[作成]-[プロパティ]-[ファミリカテゴリとパラメーター]を選択し、カテゴリをエアターミナルに変更します。
フィルタリストを機械とし、エアターミナルを選択する。
次に参照面と寸法を使って「H」と「W」のパラメータを作成し、グリル部分を押し出しで作成します。

「正面」を開いてグリルの厚みを100mmとします。
厚さを100mmとする。

チャンバーボックス

制気口の上にチャンバーボックスを作成します。チャンバーボックスのサイズは、取りつくダクトのサイズ+100mmという設定にします。
まず図のようにチャンバーボックスの幅と高さと奥行はすべて同じとし、パラメーターをCBとします。
チャンバーボックスのサイズを「CB」とする

ボックスを押し出しでモデリングします。
グリルとチャンバーボックス

接続要素

接続要素を作成します。接続要素は一つの「面」に一つだけ作成できます。[作成]-[接続]-[ダクト接続]を選択し、面を選びます。
作成された接続要素

接続要素で注意すべきプロパティ

ここから接続要素のプロパティを設定するのですが、よく考慮すべき大事なプロパティが3つあります。それは

  • 流れの方向
  • システム分類
  • 形状

の三つです。この三つはファミリ配置後にパラメーターで変更することができません。ファミリ作成時点で決まってしまうため、慎重に設定する必要があります。
流れの方向・システム分類・形状は後から変更できない!

何種類の制気口が必要か?

これらの3つのパラメーターはファミリで決まってしまいます。一方接続されるダクトの直径はインスタンスパラメータに設定することで後から自由に変更できます。したがって制気口は以下のように複数の制気口が必要になります。
システム分類と形状に応じて12種類の制気口が必要
グレーで示した還気や排気の吹出口というのはあまり考えられないのですが、少なくとも8種類の制気口をファミリとして作成しておく必要があります。

流れの方向

流れの方向とはこの接続口に対して空気が入ってくる(イン)のか、出ていく(アウト)なのかということです。これにより空気の流れ方が決まります。例えばアウト同士(つまり吸込口同士)をつないでもエラーになります。

アウト同士をつないだ例:流れの方向が一致しない旨が表示される
吹出口であればチャンバーボックスに向かって空気が入ってくるので「イン」、吸込口であればチャンバーボックスから空気が出ていくので「アウト」を選択します。

接続要素から出ている矢印は、「こちらの方向にダクトが接続される」というマークであり、空気の流れを示しているわけではないので注意が必要です。
接続要素の矢印はダクトの接続方向を示している
次回は接続されるダクトのサイズをインスタンスパラメーターとして設定してみましょう。


2014年1月25日土曜日

接続要素を制する者はMEPを制す(2)


システム分類を統一する

廊下側の吸込口をクリックするとシステム分類が「排気」であることがわかります。一方部屋うちの吹出口はシステム分類が「給気」になっています。システム分類が異なると無理やり接続するとエラーになるので、吸込口の接続要素をシステム分類「給気」に変更しましょう。

ファミリを開く

廊下の吸込口を選択し「ファミリを編集」をクリックしファミリエディタを開きます。接続口を選択してパラメータを見るとシステム分類が「還気」になっていることがわかります。これを「給気」に変更し再度プロジェクトにロードします。
 
接続要素を選択しシステム分類を変更する

プロジェクトで吸込口をクリックすると下の図のようになり、接続要素が「給気」になったことがわかります。
吸込口の接続要素が☒(給気)に変更されたことがわかる

 この状態で前回と同じようにダクトをつなぐと今度はエラーなくつながります。 
エラーなくつながる
つながった途端、ダクトもエアターミナルも青色になることに注目してください。

接続要素に染まるダクト

この状態でダクトを選択すると、システム分類が「給気」になっています。これはグレー表示されていて変更することができません。
ダクトのシステム分類が「給気」となり変更できない
ダクトはそれがつながっている接続要素のシステム分類に「染められる」のです。一方システムタイプは「給気」になっており、これは変更可能です。名前が同じなのでわかりにくいのですが、この「給気」は自分で増やすことができます。ファミリブラウザを展開して、[ファミリ]-[ダクトシステム]-[ダクトシステム]を見てみると、3つの項目が存在します。
排気、給気、還気のシステムタイプがある
この中で「給気」をダブルクリックして「グラフィックの上書き」を選択すると、青色が指定されています。このため平面図は青色になっています。
システムタイプごとに表示を変えることができる
ここでも名前が統一されておらず、システムタイプがダクトシステムとなっており、わざわざわかりにくさを増大させていますので注意が必要です。

システムタイプ(ダクトシステム)の活用方法

このシステムタイプは自由に複製することができますし、また名前も自由につけることができます。 
ファミリブラウザの「給気」を右クリックし複製し名前を「外気」に変更します。タイププロパティを編集し、グラフィックスの上書きを「赤」にしておきます。 
ダクトシステム「給気」を右クリックして複製し「外気」を作成する
そして再度ダクトを選択しシステムタイプをクリックすると「外気」が選択肢に現れます。
「システムタイプ」に「ダクトシステム」が表示される
このときシステム分類が「給気」のダクトシステムだけが表示されます。そしてこれを外気に変更するとダクトと制気口が赤色になります。

ダクトシステムが「外気」に変更されると表示がかわる
ダクトのシステム分類は「給気」「排気」「還気」の三種類しかありません。これは大分類であり、これをさらに拡張する機能としてシステムタイプが存在します。システムタイプを活用することで、色だけではなく、タグを使ってダクトの情報を図面上に表示することが可能になります。

システムタイプのプロパティをタグで表示したり、表示を変更することが可能
このようにシステムタイプ(ダクトシステム)を活用することで、システム分類をさらにこまかく分類することが可能になります。

2014年1月12日日曜日

接続要素を制する者はMEPを制す(1)

具体的につないで確認する

接続要素の振る舞いを知ることはMEPモデリングにとって大変重要です。今回は具体的にモデルを作成しながら、接続要素の重要性を確認します。
下の図のように、部屋と廊下をパスダクトでつなぐという、プリミティブなモデリングをしてみます。廊下側から部屋に空気が流れているとして、「機械テンプレート」に含まれている
  • M_吹出口
  • M_吸込口
を配置してみました。
吹出口と吸込口を配置

次にこの両者をダクトで接続します。いずれかを選択・右クリックし「ダクトを作成」を選択し、相手につなごうとするとエラーになります。
エラーが表示される

エラーメッセージは
  • 接続しようとしている要素には、異なるシステム分類があります。
です。どういう意味なのでしょう?

システムを組んでみる

次にシステムを組んでみます。廊下側の吸込口を選択し、[修正-エアターミナル]の[システムを作成]パネルの[ダクト]をクリックします。すると次のダイアログが現れます。

[システムエディタ内で開く]にチェックを入れてOKし、部屋にある制気口を選択し、システムに追加しようとすると・・・・
吹出口をシステムに追加することができない
 これまたエラーになります。

システム分類が異なると接続できない

これらのエラーの原因は残念ながらエラーメッセージを読んだだけでは何のことやらさっぱりわかりません。エラーメッセージには

  • システムのシステム タイプ(還気)と一致する利用可能な接続がありません。

となっていますが、この表現はあまり適切とは言えません。正しくは

  • システム分類「還気」と一致する利用可能な接続要素がありません。

です。前回の図を思い出してください。
システム分類が同じ接続要素しか仲間になれない
システムとは同じシステム分類に属する接続要素の集合です。ダクトのシステム分類は

  • 給気
  • 還気
  • 排気
  • 他の空気
  • 継手
  • グローバル
があり、今回のモデルでは部屋側の制気口が「給気」、廊下側の制気口が「還気」になっており、システム分類が一致しません。そのためシステムを組むことができないのです。冒頭のように手作業でダクトを接続したときのエラーメッセージは接続が論理的におかしいことを示していたのです。

システム分類の見分け方

接続要素のシステム分類を見分ける方法は簡単で、クリックしてみればすぐにわかります。
接続要素のシステム分類・接続ダクトサイズ・空気の流れがわかる
接続要素をもつ要素を選択すれば、接続要素ごとに

  • システム分類
  • ダクト接続部のサイズ
  • 空気の流れ

がわかるようになっています。(この3つの情報がわかることに着目しておいてください。モデリングを行う際、この3つの情報が実に有効なのです。)
システム分類は次のような絵で示されます。
クリックすればシステム分類がわかる
次回は制気口のファミリを修正し、接続要素についてもっと詳しく見てみましょう。